MEDICAL
腹部軟部外科
胆嚢粘液嚢腫

胆嚢粘液嚢腫の代表的な症状

  • 無症状の場合が多く、健康診断で偶然見つかる
  • 胆嚢破裂を起こすと食欲不振・元気消失・嘔吐・下痢・黄疸を引き起こし、死亡する可能性が高い
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上記の症状に心当たりがある場合は、
愛犬が「胆嚢粘液嚢腫」にかかっている可能性がございます。

胆嚢粘液嚢腫ついて

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主にワンちゃんの病気です。

 

肝臓に付随して消化液を溜めておく袋があります。これを胆嚢と言います。

正常な胆嚢の中には胆汁というサラサラな消化液が入っており、ゴハンを食べると収縮して小腸に胆汁液を送り、消化を助けます。

胆嚢粘液嚢腫は胆嚢の中のサラサラな胆汁がゼリー状に変性し、胆嚢内に充満、胆嚢の血流を妨げ胆嚢の膜が壊死して破れます。胆嚢破裂という状態です。

胆嚢が破裂すると、胆汁液は炎症を引き起こす性質が強いので、その液が腹腔内にバラまかれて激しい炎症を起こします。放っておけば、死に至る恐ろしい病気です。

 

当院では健康診断や腹部エコー検査時に偶発的に発見されるケースや他院で見つかったが、手術が出来ないのでセカンドオピニオンで来られるケースが多いです。稀に食欲不振や嘔吐・黄疸などの胆嚢破裂症状を起こして、直ぐ検査、手術となるケースもあります。

当院の胆嚢粘液嚢腫治療の特徴

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内科治療

胆嚢粘液嚢腫が見つかり、まだ破裂を起こしていない場合はまずは1ヵ月間、胆汁液をサラサラにするお薬を飲んでもらいます。

殆どのケースでは内科治療は効きませんが、病状の悪化を食い止めるためと、もしかしたら治らないかなという意味で投与します。

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エコー検査、今後の治療のご相談

1か月後に胆嚢をエコーで評価します。改善していれば投与を続けます。改善無し、もしくは悪化の場合は内科治療を継続するか、手術にするかを相談します。

 

無症状の胆嚢粘液嚢腫の手術は統計では生存率80~95%、当院では100%です。

胆嚢破裂による有症状での生存率は統計上も、当院でも60~80%程度です。

当然、無症状下での手術を受けられる方が良いのですが、当院でも生存率100%は現在の話であって、「100%助かりますよ」と保証するものではありません。統計上の生存率80~95%を考えると、今、症状のないウチの子を危険な目に合わせるのに躊躇される飼い主様は多いです。

 

各患者さんの状況、年齢、飼い主さんの考えをを総合して、相談の上、手術を行うか決定します。

手術

いざ、手術です。

胆嚢破裂を起こしていない患者さんの手術は30分から60分程度で終了します。胆嚢破裂を起こしている場合は癒着の剥離や腹腔内洗浄がありますので、1時間から3時間程度です。

 

手術後も合併症発生予防のため、数日入院して頂きます。

抜糸は10日から14日後です。

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手術後

胆嚢はないけど元気です。

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